Mirage                  
                
                  時間と切り離された 
             無時間性の空間
             無風の沙漠地帯に水が広がっている
             吹き抜けてゆく風
             彼方へと水が呑まれてゆき 歴史じかんが動き出す
             私は
             時の旅人
             赤く揺らめく炎 かつてのここの姿が甦る
             歌う女神達の遣い 珊瑚の唇は言葉を紡ぎ出してゆく
             柘榴を求める男達 その言葉は甘い
             流れる水 それは空を映し 遥か高みの青を湛える   
             神を奉る者 踊り手の布は舞い 誘惑は耐え難い
             一時の夢か、夜は過ぎゆく
             耳にはり付くドラムの音 称えられしは誰が者か
             闇の到来 何をもたらしたか
             風は私を引き戻す
             目の前が 闇が齎したもの
             全ては渺遠びょうえんの果てに