ジオグラフ


     行き着く先は絶望しかないというのに
     君は行こうとする
     いや、行ってしまった
     僕には分からない
     何故君は 敢えて滅びを早める道を行こうとするんだい?

     星々に照らされた道 この先は判らない
     この道は山を越えるかもしれない
     この道は谷を通るかもしれない
     どこにも 
     何処にも繋がっていないかもしれない

     希望を持とうとしない君は 笑って言ったよね
     「絶望するだけの気力があるならば、まだ大丈夫。そう思うよ。」
     それは希望を持たないのではなく
     探している最中、だった・・・・・・・・?
     今ならそう思えるよ

     絶叫をもかき消してしまうような雨の中
     飛び出した君は 一体何処へ行こうとしていたのか
     止めることが出来なかったことが
     今も僕の身体を蝕んでいる
     僕の捜しものは君だけど 君の探しものは見つかったかい?

     稲光に縁取られた荒涼とした世界
     まるで終末予言を見るかのようだった
     それは 使うものに使われた末路
     ごくごく当たり前で 判り切っていた結果だった
     けど やめることは出来なかった――

     フォルトーナ
     それが君の名前のように思えるよ
     その気まぐれは 今後何処に向かう?
     そのめしいた瞳は 今何を見つめている?
     君の指先が紡ぐ 閉じられない輪郭線は 今何を描く?
 
     絶望しか見出せない未来にも
     君のように向かっていけば 
     行き着く先で希望に変えられるかもしれない
     それが出来たら岐度君に逢える
     そんな気がするよ

     時のめぐりに落ちた身なら
     誰もが君に出会う
     誰もが君に恋焦がれる
     束縛せず 束縛されず 
     幻影を置いて君は消え去る

     あの雨の日の後悔は拭えない
     拭いきれない涙の落ちる果ては
     星々が照らし出した道
     今は背を向けているけれども
     近い未来 僕はそこに足を置こうと思っている

     過去を省みる為に
     今を知る為に  
     未来を作る為に
     僕が僕である為に 
     そして 君に逢う為に――