今はかぎりときと見れば


     昂揚していた気分が落ち着いてゆく      手を伸ばす 遙か彼方 そらてに      そこは君に用意された場所だから      今から「これ」は過去になる      二度もはじめもどれるわけでもないのに      用意されるは一千年の功徳くどく      一体何を守護まもらなければならないのだろう      この世界から自分の身体すらも持ち出せないというのに      何故こんなにも形あるものに執着するのだろうか      何故こんなにも目に見えないものまで形にしたがるのだろうか      ・・・・・・不安定な存在だから?      存在に疑問を抱かずにいられない      僕等は生まれた世界でしか死ねないんだ      肉体からだが滅びただけでは真の死にはならない?      なら 死は一体何を与えてくれるのだろうか      魂が受けた数多くの傷を癒す時間か?      いつかは風に忘れられる日が来るよ      いつかは名を忘れられる日が来よう      今は 時を超えて君に寄り添いたい      僕が最期の息を吐き尽くしてしまうまで、あと少し――