願いの種トゥフメ ハーヒシュ

         騙されているんじゃあないだろうか
       そう思えるくらい 雲一つない良い天気だった
     冬の気配すらも感じさせない夕焼けは
     ゆっくりと 辺りを染めていた

     あの日
     帝都をおおい尽くした 白銀の雪は
     天の憐れみか はたまた祝福か
     今も昔も 誰も答えることは出来ない

     未来があるなんてことを 信じられるのか・・・・・・
     文明のツケを払い終えるのと
     地滑りのように崩壊していくのとでは
     どっちが早い?

     彼等は時の先を手にしようとしていた
     未来は変えられるものだ。と信じて
     彼等は時の先を手にしていた
     結果、時代を敵に回した

     哀し過ぎるくらいの青い空に吸い込まれ
     時の記憶は霧散してゆく
     誰も夢にも見なかっただろう豪雪の重圧
     故に氷と化した雪は 記憶の底に沈んでゆく

     誰が自分達を責めることが出来る?
     誰が彼等を責めることが出来る?
     星の光をまとって逃げるような 月明かりを使って捜し出されるような
     そんな行為の結果を 一体誰が責められる?

     時の記憶から掘り起こせるのは事実だけ
     遺しておく為か 二度と掘り起こさせないようにする為か
     それとも
     古傷を隠すように 自分が傷付かないようにする為か

     日がまた昇れば
     暁光が宵闇を振り払ってくれるだろう
     月が支配権を所持しているなら
     深い闇に沈むだけ

     手にあるものを眠りに就かせず
     深い闇の底で
     沈められた肉体の 鎮められなかった魂を癒し
     再び立ち上がるまで 待ち 続ける――