Samsaraサンサーラ



     廻り廻りて連なって
     廻り廻りて憎み合って
     廻り廻りて愛し合って
     廻り廻りて廻り逢う


     ここではない何処かへ
     平穏を求めて旅立つことも出来たのに
     夜のしじまを裂いた出現の予知夢
     それは俺が感じた邪心の正体
     
     
          言い知れぬ戦乱の気配
     この身いずこに赴くや?
     抗うすべは 生きて記憶を伝え続けること
     喪失させられることすらも怖れずに
     

     共に修羅道に身を堕としたのは
     あなたの悲願を叶えることが俺の望むことだから
     あなたを助けることが俺の出来ることだから
     卑劣の烙印押されても 俺の場所はあなたの傍

     
     廻り廻りて連なりて
     廻り廻りて憎み合う
     廻り廻りて愛し合う
     廻り廻りて廻り逢い

     
     血の陰謀を裏切ることもなく
     瞼裏に焼きつけた光景を封印し
     これから先の星宿を読む
     花色の闇夜に輝ける光筋ひかりすじ 希望を分かつ太刀となりて


     鬼伯が通り過ぎた野で
     あなたの問いに俺は答えた
     その答えに納得してはくれたのだろうか・・・・・・
     あの時の少し哀しそうな笑顔が 忘れられない
     
 
     あなたの手で・・・・俺の手で・・・・共に始末をつけた時
     少しでも、ほんの少しでもあなたより長く生きていたかった
     だが 容赦のない一撃
     あなたのぬくもりに押しかかり 最期に聞いたのは 愛しいその心音こどう


     廻り廻りて連ならん
     廻り廻りて憎み合いて
     廻り廻りて愛し合いて
     廻り廻りて廻り逢わん


     胞衣えなにまで持ち越した 俺にとって いたわしいこの想い
     このまま芽吹くことなく 再び墳墓の土に覆われることを 強く願う
     あなたに辛い思いをさせないように 縛りを与えないように
     もう 二度とこの想いでわずらわせないために


     廻り廻りて連なって
     廻り廻りて憎み合って
     廻り廻りて愛し合って
     廻り廻りて廻り逢う



--------------------------------------------------------------------------------  楠正季⇒楠正成