参   商し ん し ょ う
 
       あの嵐の中 僕がどれだけ君の名前を呼んだか 君は知らないだろうね
       正しいと思っていた道を ずっと歩いていた
       何処で間違ったんだろう?
       君は 間違ってなんかいないと言ってくれたけど

       名誉負傷パープルハートなんて綺麗な言葉で飾らないでよ
           これは 痕が残るだけ、残った分だけ 苦しい傷なんだ
       いつも夜空に輝いている空のほしとは違うんだ

       再び夢に生きるまで さまよい続ける事が 僕の今の定め
       砕けた心で もう翼は創れない
       海のない国はあるけれど 空のない国はない
       そのことは 今の僕にとって苦痛以外のなにものでもない
       空は、嫌がおうでも君の瞳を思い出させるから

       今僕が歩いていかなきゃならないのは 過去への道
       過去へ置き去りにしてきた自分を拾わなければ 未来は拓けない
       永遠にも近い 苦痛の果てにあるものは何だ?
       僕は それを知りに行かなければならない

       褪色たいしょくしてゆく恋の屍骸しがい
       けれど
       痛みだけは形骸化すらせず 却って僕を蝕んでゆく
       僕が完成されたものを夢見ていたわけではなく
       完成されたものが僕を夢見ていた
       どうして そんな単純な事に気がつかなかったんだろう

       幾度も死を繰り返し
       僕は自分だけの魔法の言葉を見付けた
       崩壊した世界の灰の中から立ち上がり 僕は祈る
       乾いた瞳に映った全ての惨禍を忘れないように
       この手に水を生み出す力を持てることに

       時さえも癒せない場所がある
       だけど 僕はそこで自由になる
       そして 
       何度も何度も迷って 何度も何度も空を見て
       岐度 見付けるんだよ
       君への本当の想いを――