ゲシュタルト崩壊



     遠き日に謳われた幻よ 何よりも厳かであれ
     大地が夢見た時代ときはいつだったか
     深き淵より名を呼び 青き高みへと手を伸ばす
     この地上と向き合い おおい尽くす天意の叫びを耳にする



     伝説の中にのみ生きるといわしめた馥郁たる都
     宵闇に浮かぶは瓦礫となった大理石か
     廃都と成り果てたこの地に
     残されたのはただ風のみ


     その存在にとり憑かれたれの果て
     最早俺の身体には 何の炎も宿っていない
     朽ちかけ 死に損ねた魂は
     荒城から変わらぬものを見上げる



     遠き日に謳われた幻よ 何よりも厳かであれ
     大地が夢見た時代ときはいつだったか
     深き淵より名を呼び 青き高みへと手を伸ばす
     この地上と向き合い おおい尽くす天意の叫びを耳にする



     かつて唯一俺が主役だった時があった
     その非常に無垢な存在だった時
     誰が伝説の犠牲とならなかったと信じるだろう
     だが 夢破れなかったといえど あまりに無残なその姿


     蜃気楼の向こうから投げかけられるのはが目だ?
     対峙する空気の層は厚く
     灼熱の太陽は思考を焼き尽くしていく
     もう 後は倒れるだけだ


     地獄で迎えてくれるのは炎かそれとも氷か
     浮遊感に支配される感覚 
     鍋底から遂に蒸気になったか そんな冗談すら湧いてくる
     そして足元に見えたのは・・・・・・



     遠き日に謳われた幻よ 何よりも厳かであれ
     大地が夢見た時代ときはいつだったか
     深き淵より名を呼び 青き高みへと手を伸ばす
     この地上と向き合い おおい尽くす天意の叫びを耳にする



     えにしを結び 印をける
     時すらも侵入できない場所へ
     いざと俺の足は駆けて行く
     こうじた己が志しは やがて詩人が物語として練り上げるだろう――



     遠き日に謳われた幻よ 何よりも厳かであれ
     大地が夢見た時代ときはいつだったか
     深き淵より名を呼び 青き高みへと手を伸ばす
     この地上と向き合い おおい尽くす天意の叫びを耳にする