酔 生 夢 死
 
      春を告げる風が 吹く
      今日 僕等は夢の中に迷い込んだ
      ここを出るのに必要なのは 君の裏切りだった
      愛なんかに幻想を抱いちゃいけない
      でも
      誰かは言っていたよ 夢は積もると現実になる――って

      それなら
      僕は一体何に惑わされているんだろう
      僕等は何を見つめなければならないんだろう
      提起されない問題の結論を 僕等は導こうとしている

      三番目に吹く春風は
      儚い想いを全て散らす
      飛英の中を歩き 僕等は思う この空間は――夢?
      その答えが否定されたら 一体何から目を醒ませというのか……
 
      夜霧に浮かぶ月影を掴むような はっきりとしない空間
      僕等は背を向け合い 無言しじまの中 歩き出す
      朧月夜の下に花開く 枝垂しだれた桜が見せる淡い幻
      いつか 春風が晴らしてくれると信じている

      君の裏切り、嘘、不当な要求 そして君との一方的な別れ
      共に夢の中で迷い込んだままなら 全て許せそうな気がするよ
      だけど
      僕は君との別れの後 未だに自分が何処にいるかすらも分からない
      だけど
      僕に別れを告げた君は そんな僕の姿を道化だと笑っている そんな気がする

      今なら ヴィヴィアンに捕らわれたマーリンの気持ちがよく判る
      これは 甘さという愚かさを君に与えた末路
      そして
      僕が"君"という罠にはまってしまった結果
      この先 僕はどうやって生きてゆこう・・・・・・