天 底



     限りなき歴史ときの埋め草
     永久ではない、永遠の 思いの連鎖
     二儀の間でねぶり覚まさけん
     おまえの誕生によって・・・・


     今際いまわ綴目とじめに思いし事
     今際いまわ 綴目とじめに思いし事
    

     わねあとだけ空に残し 視界からのがれる
     暮れきらぬ空に無言むげんに呼び掛ける
     取り残された残像ういに ただただ胸を焦がす
     今 心がとりとめもなくんでゆくのを感じる


     溢れた涙の痕が消えぬまま
     望まぬ高みへと誘われてゆく そんな我が傍にあるものは一体何か・・・・
     この身を引き裂きたい思いに抗い 目裏まなうらに焼きついた記憶でこの世に身を繋ぎ止める
     繰り返す悪夢ゆめも 動乱の果てに露となればよかったものを――


     今際いまわ 綴目とじめに思いし事
     今際いまわ綴目とじめに 思いし事


     誓いが腐敗してゆく
     螢火を冬にまとうような現実
     比類なき願い ――それにすべてを賭しても良いと思っていた
     そして今 その思考は問いとなる


     もう、後はない
     だが
     その答えが聞ければ充分だ
     ――いざさせ給え


     今際いまわ綴目とじめに 思いし事
     今際いまわ 綴目とじめに 思いし事


     幾度器が変わろうが
     決して・・・・そう、決しておまえの御魂を間違ったりするものか
     それが例え禁忌とされるものであっても
     にぎみし力も荒ぶる力も 全ておまえなのだから


     今際いまわ 綴目とじめに 思いし事
     今際いまわ 綴目とじめに 思いし 事


     ねぶりを覚まさけん 歴史ときの埋め草
     二儀の間で続く思いの連なり
     永久は終わりを告げる
     そして おまえの誕生により永遠が始まるのだ



--------------------------------------------------------------------------------  『太平記』を基材に固有名詞を定めないで展開させたもの。